水に満たされた小宇宙〜アクアリウムの楽しみ方

アクアリウムの手引き

Presents by SHINJI HONDA

部屋に小さなアクアリウムがたったひとつあるだけで、そこにはもうひとつの魅力的な世界が誕生します。色とりどりの熱帯魚たちが重力に縛られることなく水中を自由に泳ぎ回る様は、まるで小さな宇宙空間のよう。水草と流木による自然な水景色、そして澄み渡る美しい水の輝き。アクアリウムは手に入れたその日から、その全てが心を休息へと導いてくれます。それはまさに部屋で楽しむ小さな水族館。熱帯魚だけではなく、水槽までをも含めた水景色そのものを楽しむ、そんなアクアリウムの楽しみ方をご紹介していきたいと思います。

夢のミニ水族館

アクアリウムの管理はこれといって難しいものではありません。今まで生き物を飼ったことのない人でもポイントさえ押さえれば無理なく楽しむことができます。必要なのは、ちょっとしたコツと小さな生き物への愛情。気にかけてあげればあげるだけ、とびきりの感動と幸せが次々と飛び出してくる夢のようなミニ水族館。そんなアクアリウムで日々繰り広げられる生命のドラマは、決してお金では買えない、かけがえのない大切なものを、心の奥にやさしく届けてくれることでしょう。

小型熱帯魚の魅力

グリーンネオンテトラの写真
今や熱帯魚の飼育もごく身近なものになりました。本格的に楽しむなら大きな水槽で大きめの熱帯魚をゆうゆうと飼育するのもまた良いものです。ですが、水槽が大きければ水換えひとつとっても大変です。水槽掃除となれば一日がかりとなってしまうかもしれません。置き場所にも頭を悩ませてしまうことでしょう。そこで、このサイトでは小型の熱帯魚をメインとしたアクアリウムについてお話をすすめていきます。小さな熱帯魚には小型ゆえの魅力があります。まずはなんと言っても小型熱帯魚なら、たとえコンパクトな飼育容器でもある程度の余裕を持って飼育できるという点です。小さなアクアリウムであれば置き場所にも困りませんし、掃除や水替えも手軽に行えます。また、熱帯地方の水景色をそっくり切り取ってきてミニチュアにしたような、箱庭的な感覚も楽しむことができるでしょう。

本当はやさしい熱帯魚飼育

熱帯魚の飼育というと何かものすごく大変そうだと思われる方もいるかもしれませんが、本当はポイントさえ押さえれば、とても飼いやすい生き物たちなのです。さて、いよいよ次の章からは、あなたのためにやってきた熱帯魚が一日でも多く愛情を受けられるよう、手軽な管理でしかも熱帯魚にやさしい、とっておきの飼育のコツを伝授いたします。



アクアリウムの管理

アクアリウムを管理する上でどのくらい手間がかかるかは、ひとえに日頃の飼育の行い方によるところが大きいです。的を得ない飼育では毎日のように水を換えても水はにごり、コケや汚れに悩まされ、熱帯魚はいつも怯えて人が来ると逃げ回るようになり、ついには病気まで発生してしまうこともあります。でも上手に飼育すると週に一度、適量の水を換えるだけでも水は常に澄みわたり、コケもほとんど生えず、静かな環境に熱帯魚も落ち着いて本来の深みのある体色を取り戻し、美しい輝きを放ちながら、人を慕ってすり寄ってくるようになるのです。

熱帯魚の基本的な飼い方についてはそれぞれのアクアリウムについている管理の仕方や熱帯魚飼育の専門書などに詳しく説明されていますので、ここではこれだけは押さえておきたいという、熱帯魚飼育のコツをお伝えしていきます。

※わかりやすく解説するため、厳密には正確でない表現が含まれている場合があります。

エサについて

エサの扱いには熱帯魚飼育のコツが凝縮されています。ちょっと長いですが、とても大切なことですので、がんばって読んでみてくださいね。

さて、熱帯魚の飼育で最も重要なポイントはエサです。エサの種類や与え方が、アクアリウムの環境の全てを左右するからです。エサが食べ残されたり、質の悪いエサが消化不良のまま熱帯魚の体外に排出されてしまった場合、やがて水中の酸素を消費しながら有害な毒素を発生させ、底砂の中など酸素がなくなりやすい場所では酸素の少ない環境を好む病原菌などの悪玉菌が増えてきてしまいます。そして毒素を無害化してくれる底砂の中の善玉菌は酸素が足りずにどんどん減ってしまうのです。なんとかしようとして水を換えれば換えるほど、熱帯魚は怯え、人が近づくと逃げ回るようになり、また、水換えによる水質変化のストレスから色もすっかりあせてしまいます。このようになってしまったアクアリウムでは、たとえ毎日水を換えても善玉菌が少ないためにいっこうに毒素は減らず、熱帯魚の体力も落ちてしまい、ますますエサを残したり、消化不良を起こしたりと、負の連鎖がずっと続いてしまう事になってしまうわけです。

こうならないためには質の良い人工飼料をやや少なめに与えることが重要です。十分に消化されて体外に排出された老廃物は、善玉菌によってすみやかに無害化されていくと同時に善玉菌の栄養となり、ますますその数を増やしていきます。善玉菌によって無害化された毒素は水草に肥料として吸収され、元気な水草は光合成を行って熱帯魚の排出した二酸化炭素を酸素に換えてくれます。水草の出した酸素によってアクアリウムの中にはますます酸素が増え、熱帯魚も善玉菌も更に元気になり、酸素の嫌いな悪玉菌は暮らしていくことができなくなります。水槽内の毒素が少ないのでコケもほとんど生えることができません。水換えも少なくて済むので、熱帯魚も水質の変化によるストレスを感じることなく、より落ち着いて環境に馴染むと共に、健康な熱帯魚はその本来の輝きと陽気さを取り戻してくれるというわけです。

水温について

熱帯魚の飼育においては水温はとても重要な要素のひとつです。熱帯魚といっても30度をゆうに超える日本の夏は暑すぎます。夏場はできるだけ涼しくしてあげましょう。一般的な熱帯魚の適温はだいたい25度前後です。また、水温は熱帯魚の寿命と深い関わりを持っています。27度以上の高めの温度で飼育すると病気にもかかりにくく、とても早く成長しますが、普通よりも小さいまま大人になってしまったり、急激に老衰してしまったりします。逆に23度以下の低めの水温ではやや成長はゆっくりですが、比較的長く生きてくれます。ただし低水温では白点病などにかかりやすくなりますので、特に水替えなどで水温が下がったときなどは注意しましょう。種類によってはかなり低温に耐えてくれる熱帯魚もいますが、通常は18度以下になると危険です。アクアリウムの中には特殊な形状や仕様のため、保温器具がついていないものもありますが、そうしたセットはたいていどこにでも置けるサイズですので、冬は常に暖房のきいている部屋に移動しましょう。部屋の暖房が切れてしまう場合、10リットルくらいの水槽でしたらオートヒーターで、オートヒーターが入らないほど小さな水槽はパネルヒーターで保温してあげます。

なお、ライトは点灯している時間が長すぎるとコケが生えやすくなります。また、短すぎると水草が十分な光合成をできなくなってしまいます。アクアリウムの仕様や置き場所などにもよりますが、私の経験では一日の点灯は8時間くらいにしておいた方が良いようです。

設置場所について

水は意外なほどの重量があります。ですからアクアリウムは必ず安定した丈夫な台の上に置く必要があります。また、直射日光が当たるところは避けましょう。あれよあれよと言う間にコケが大発生してしまいますし、水温が異常に上がってしまう事もあります。ただし朝の木漏れ日が、ライトを消した暗い水槽にさしこみ、熱帯魚を浮かび上がらせた時の美しさは格別です。もしそうした場所に置くことができるのであれば一度おためしになってみることをオススメします。

青いベタの写真
熱帯魚は体調や光の加減によって見違えるように美しくなります。
(写真は青ベタ



リラックス空間に適したアクアリウム

ゆっくりと落ち着きたい部屋にアクアリウムを持ち込む場合には、そういった場所に適したタイプを選ばないと「こんなはずでは……」なんてことになってしまう場合もあります。せっかく快適な暮らしを実現するためにアクアリウムを取り入れるのですから、ストレスを感じてしまっては元も子もありません。

部屋の環境に応じた熱帯魚飼育セットをセレクトすることは、熱帯の水景色を取り入れた生活を楽しむ上での欠かせないポイントのひとつです。あとあと後悔しないためにも、自分の性格や生活スタイルに合ったアクアリウムを取り入れましょう。

選び方のポイント

プライベートルームでアクアリウムを楽しむためにまず考慮しておきたいのが稼働時の動作音についてです。例えば一般的な熱帯魚飼育セットでは水を浄化するための濾過器がついていますが、これらは多少なりとも音と振動を発生させます。最近の濾過器は昔のものに比べて格段に静かになりましたが、それでもこれから毎日、24時間中、この音と振動がやまないことを考えると、これはこれで少し考えてしまいます。特に低周波は人に少なからず影響を与えるとも言われていますから、こうしたことに敏感な人にはやがて苦痛にすらなってしまいかねません。人によっては音や振動は全く気にならない場合もありますし、そのどちらかで選ぶ飼育セットもおのずと違ってくることになるでしょう。多少の音なら気にならないようであれば、無音とまではいきませんが比較的静かな熱帯魚飼育セットを安価で手に入れることができます。

音や振動が気になる場合に、まず考えられるのは極めて動作音の少ないパワーフィルターです。これも機種によってかなり差があるので、実際に購入する際には十分に比較検討する必要がありますが、パワーフィルターは音が静かなだけでなく、濾過能力がバツグンに優れているので、特に水を汚しやすい中型以上の熱帯魚には最適です。ただし水流があまりにも強力なので小さな水槽では中の熱帯魚がぐるぐると回ってしまうため使うことができません。このことはパワーフィルターの数少ない欠点のひとつと言えるでしょう。

最近では「アクアリウムの管理」で先述の自然の循環システムを最大限に活用して濾過器を使わずに熱帯魚やエビなどを健康に育成することができる水生生物の飼育セットが登場してきました。NASAの技術を応用して開発されたエビの飼育セットや、老舗の熱帯魚養魚場がそれまでの経験を凝縮して開発したレガーロの熱帯魚飼育セットなど、このような飼育セットはいずれも濾過器を使わないので音も振動もありません。プライベートルームで楽しむアクアリウムには、まさにうってつけです。容器や生き物の種類も様々ですが、中にはビンのような極めて小さな飼育容器に入れられたものもあります。これらは短期間の飼育はともかくとしても、飼育容器が小さければそれだけ水槽内の調和を保つのが難しくなってきますので、もしこうした容器で購入した場合は、熱帯魚が元気なうちに、なるべく早く広い水槽に移し替えてあげた方が良いでしょう。また、熱帯魚が初めてで飼育に不安があるという方にはレガーロで始める熱帯魚の飼い方が参考になると思います。

生き物と暮らす喜び

アクアリウムは単なるインテリアではありません。水中を泳ぐ熱帯魚は、あなたの用意した世界の中で暮らしています。そして、愛情をもって飼育すれば熱帯魚はあなたを覚えて慕ってくるようになるでしょう。姿形や住んでいる環境は違っても、あなたと熱帯魚は、心を通わせることができるのです。なんて素晴らしいことでしょう!どんなときも、変わらずあなたを待っていてくれる、そんな小さなパートナー。アクアリウムの本当の魅力は、そこから始まります。


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