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トンカチ頭のハンター  アカシュモクザメ

アカシュモクザメとは?

アカシュモクザメはまさに怪魚と呼ぶにふさわしい、異様な形の頭をした奇妙なサメです。目が左右に離れてついているので至近距離はよく見えないようですが、視界の広さを活かして狙った獲物は逃しません。水族館でもよく飼育されています。扁平な頭は機動力を生み、特に旋回能力に優れるとされています。頭の形が、お寺の鐘を叩く丁字形の撞木(しゅもく)に似ている事からシュモクザメと呼ばれています。英名はスカロップ(スキャロップ……ホタテ貝のことです)ハンマーヘッド。アカシュモクザメと他のシュモクザメとの違いは、その頭の形にあります。アカシュモクザメは頭の前の方がゆるやかな曲線を描き、その中央が窪んでいます。上から見るとギザギザに見えます。

大怪魚アカシュモクザメ

アカシュモクザメはもちろん肉食性で、イカやタコ、イセエビ、小型のサメやエイなども食べます。海の無法者として恐れられる巨大有毒魚バラクーダ(オニカマス……1.8メートルにもなり、鋭い歯で人をも襲う)でさえ、アカシュモクザメの前では格好の餌食となってしまいます。いかにもどう猛なアカシュモクザメですが、ホンソメワケベラにだけは優しく接します。ホンソメワケベラはアカシュモクザメにまとわりついて、寄生虫を食べてくれるからです。アカシュモクザメは強力無比なアゴの力と鋭い刃物のような歯で、人にとっても極めて危険な攻撃力を持っていますが、興奮しない限りはむやみに攻撃はしてこないようです。昼は沿岸近くで過ごし、夜になると獲物を求めて沖に出かけて行きます。ちなみに寿命は約35年と言われています。

アカシュモクザメの体のひみつ

アカシュモクザメは卵ではなく子どもを産みます。魚の中には他にもグッピーのように子どもを産む魚がいますが、その多くは卵胎生と呼ばれるもので、親の体内で卵が孵ってから産み落とされます。ところがアカシュモクザメの場合は卵胎生ではなく胎生で、ちゃんとした胎盤を持ち、親と子はしっかりと繋がっているのです。子は体内で親からたっぷり栄養をもらいながら、すくすくと成長していきます。アカシュモクザメはこのようにして多い時で40センチほどの幼魚を30匹くらい産みます。

不思議な姿で世界中の海を泳ぎ回る巨大怪魚アカシュモクザメ。大群を成して悠々と過ぎゆく様は、もはや幻想的でさえあります。今宵は地球の不思議な生命にしばし想いを馳せてみてはいかがでしょうか。(S.HONDA)

アカシュモクザメのプロフィール

 データ  
 学名  Sphyrna lewini
 分類  ネズミザメ目(メジロザメ目) シュモクザメ科
 全長  4.3メートル
 体重  152キロ
 分布  世界中の熱帯から温帯の沿岸域に分布