Presents by SHINJI HONDA
熱帯魚の飼い方はもちろん種類ごとに違いはありますが、できるだけシンプルな熱帯魚飼育セットを選ぶことによって、30分ほどの簡単なセッティングで、初めての方でも手軽に夢のような熱帯魚との暮らしを始めることができます。
なんとも手抜き?な熱帯魚の飼い方ガイドではありますが、これが初めての方でもいきなりうまくいく、実はとても理にかなった熱帯魚の飼い方なのです。そういったわけで、ここでは初心者の方にも扱いやすい熱帯魚飼育セットの選び方を中心に、それぞれの管理のポイントを解説しながら、とびきりやさしい熱帯魚の飼い方をひも解いていきたいと思います。
もっとも安価で一般的なのが、水を適温まで温めるオートヒーターと、水中に発生する毒物を無害化するフィルターがセットになった熱帯魚水槽です。フィルターの作り出す穏やかな水の流れは、水槽のすみずみにまで十分な酸素ときれいな水を行き渡らせ、熱帯魚にとって快適な環境を実現します。まずはこのタイプの熱帯魚飼育セットを利用した熱帯魚の飼い方についてご紹介していきます。
このタイプの水槽セットでは、ショップにいるたいていの熱帯魚を飼育することができます。特に水の流れや豊富な酸素を好むプレコストマスやフグの仲間などは、こうした環境で飼育してあげる必要があります。流れを好む熱帯魚のうち、初心者向きの丈夫な種類としては、生命が誕生する喜びを目の当たりにできるグッピー、底をちょこまかと動き回る様子が楽しいコリドラス、水草に貼り付く姿が最高にかわいいオトシンクルスなどがおすすめです。
安価な熱帯魚飼育セットに最もよく採用されているのが、エアーリフト式と呼ばれるフィルターです。エアーポンプと呼ばれる器具から送り出された空気がチューブを通ってフィルターの下部に届けられ、空気が浮き上がる力を利用して水の流れを作り出す仕組みになっています。
欠点としては、ボコボコいう空気の音、そして、エアーポンプから生じる振動がそれなりに気になります。このため、寝室などからはできるだけ離れたところに置かないと気になって眠れなくなってしまうと言うことが起こりかねませんので、特に音や振動に敏感な方は他のフィルターを選ぶべきです。
それではさっそくエアーリフト式の熱帯魚飼育セットを使った熱帯魚の飼い方から見ていきましょう。まず最初は水槽にオートヒーターとフィルターをセットしたら、お魚を入れずに一昼夜、フィルターで水を回しておきます。こうしておくと熱帯魚にとって有害な水道水に含まれるカルキ(消毒用の塩素)も勝手に消滅しますので中和剤を入れる必要もありません。また、水温もヒーターが自動的に適温にしてくれます。
準備はこれだけです。
水槽をセットしてから待つこと1日、いよいよ熱帯魚を水槽に放つことになりますが、いきなり放り込むようなことは絶対に避け、熱帯魚の入ったビニール袋をそのまま水に30分ほど浮かせて水温を合わせます。その後、ゆっくりと水を混ぜ合わせながら、静かに水槽の中に放しましょう。丈夫な種類であればこれで問題なく飼育を始められるはずです。
お魚を入れたその日はエサはあげないようにします。翌日あたりから、お魚が元気に泳いでいるようであれば様子をみながら少量のエサをあげてみます。
ところで水をきれいにしてくれるバクテリアがフィルターの中に殖えるのにはしばらく時間がかかります。そのため、飼育を初めて一ヶ月くらいは、特にエサの与えすぎに注意し、決して残りエサがでないようにすることが大切です。常に少し足りないくらいの量にしておいた方が、お魚も健康に長生きしてくれるでしょう。これは熱帯魚の飼い方を理解する上での、もっとも大切なポイントのひとつです。
なお、ショップで水槽の中に入れてあった流木や水草、バクテリアの元などを入れることで、よりすみやかに水をきれいにしてくれるバクテリアを殖やすことができます。
外部式フィルターや水中フィルターを利用した熱帯魚飼育セットもよくみられます。これらはたいてい、エアーリフト式よりも音や振動が軽減されますが、安価なクラスの飼育セットについているフィルターではエアーポンプ並みの騒音になってしまう場合もありますので、あまり過度の期待をすると、ガッカリしてしまうこともあります。
外部式フィルターは水槽内を広く使えるので、特に小型の水槽には適しています。ただし、このタイプの熱帯魚飼育セットはフタに隙間の空いたものが多く、よく跳ねる種類の熱帯魚をこうしたセットでそのまま飼うのは危険です。特にハチェットフィッシュやバタフライフィッシュ、ポリプテルスやスネークヘッドの幼魚などは、間違っても入れてはいけない熱帯魚です。
水中フィルターは濾過能力も意外に高く、使い勝手も良いのですが、小型の水槽ではかなり美観を損ねてしまうのが欠点です。また、機種によってはモーターが水中で熱を発し、夏場に異常なほど水温が上がることがあり、場合によっては一日にして全滅してしまうこともありますので、夏場は必ずクーラーの効いた部屋に置いておきます。
日頃の管理などについてはエアーリフト式での熱帯魚の飼い方と同様です。
水質の変化に弱い熱帯卵生メダカやワイルドベタなどは、メダカ鉢でメダカを飼うのと同様に、フィルターを使わず止水での飼育が主流でした。フィルターに頼らず、エサを常に控えめに与え、熱帯魚、水草、ろ過バクテリア、照明などの量や質をコントロールして水槽の中に自然の浄化サイクルを作り出すことで、ほとんど水替えをせずに、熱帯魚にとって理想的な環境を造り出そうとする自然に近い熱帯魚の飼い方です。
フィルターを使わない止水タイプの熱帯魚飼育セットは、規模や性能の違いはあるものの、ほぼ、この原理によって成り立っています。今まではあまり一般的ではありませんでしたが、こうした飼い方はお魚のストレスを最小限に抑え、熱帯魚との良い関係を築く飼い方として支持されつつあります。
また、音や震動が全くないのも、このタイプの魅力です。
ベタやグラミーといったアナバンティッドの仲間は強い水の流れを苦手とするため、止水での飼育が向いている熱帯魚と言えます。
また、アナバンティッドはエラにラビリンス器官と呼ばれる空気を直接取り込める構造を持っていて、水中の酸素不足にはめっぽう強く、その事からも、この種の熱帯魚がいかに止水に適応した種類であるかを伺い知ることができます。
その他、ラスボラやゼブラダニオなどの小型コイ科の熱帯魚も、止水流水を問わず飼いやすい熱帯魚たちです。少数ならばネオンテトラもおすすめです。
1リットルにも満たない小さな容器で飼える熱帯魚もいますが、水量が少ない分だけ、わずかなエサの与え過ぎでも、重大な水質悪化を招いてしまう場合があるため、水の管理には細心の注意を要します。特にエサだけは絶対に与えすぎないように徹底なくてはなりません。
また、外気の影響を受けやすいため、気温の変化が少ない部屋に置いておく必要がありますし、急激な水質の変化を起こしやすいので水替えにも気が抜けません。
こうしたことを考えると、ビンのような極端に小さな容器で熱帯魚を飼うのはけっこう難しく、基本的には一時的なものと考えておいた方が良さそうです。
とは言え、ベタなどはたいてい小さなビンに入れて売られています。オス同士を一緒にすると激しいケンカをする性質もあり、ショップなどでは小さなスペースに一匹づつ隔離して陳列しておくためには、いたしかたないことかもしれません。
ただ、やはりベタの大きさを考えますとビンではあまりに窮屈ですし、小さな容器では突然死を起こすこともよくありますので、ベタが元気なうちに5リットル以上の水槽へ移した方が無難かもしれません。>ベタの水槽
アカヒレ(商品名コッピー)も小さなビンなどに入れて売られているのをよく見かけます。アカヒレは熱帯地方の魚ではありませんが、数ある観賞魚の中でも屈指の極めて丈夫な種類で、止水流水を問わず、また、室内であれば四季を通して常温での飼育が可能です。
アカヒレもこうした性質から小さなビンに入れて売られていることが多く、また、適切な管理さえしてあげれば、このような環境でもずっと元気にしていてくれますが、本来はとても活発に泳ぐ魚なので、広い容器に移し替えてあげると、よりいっそう幸せそうに泳ぎ回ってくれるようになります。>アカヒレの水槽
手頃なサイズのガラス水槽と底砂、そしてオートヒーターを購入すれば、それだけで止水タイプの熱帯魚飼育環境ができあがります。
弱光に強い丈夫な水草を多めに、そして熱帯魚は少なめに入れるのが成功の秘訣。セットしてすぐは、ろ過バクテリアも少なく、水草の浄化作用も弱いので、エサは週に2回くらい、それもほんの少量にとどめておきましょう。
水が白く濁るのは水槽内の環境が不安定な証拠です。こうなったら慌てて水替えをしてもいっそう水を悪くしがちですので、うっすらと白いくらいでしたら、自然の力を信じて水が澄むまでエサを与えずに静かに何日か待ちます。
だんだん水槽内の環境が安定してくると、週にコップ数杯ほどの水を換えるだけでいつまでも元気にいてくれるようになります。どんな種類の水草や熱帯魚を、どのくらいの数だけ入れたらいいのかは、こちらの水槽が参考になります。
熱帯魚を飼うのが初めて!という方のために、熱帯魚飼育をやさしく解説したページがあります!
初心者救出!熱帯魚飼育
120年の飼育経験から生まれた水槽。
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