エアープランツは土なしで楽しめる不思議な植物です。普通の植物は土から植物の三大栄養素のひとつである窒素を吸収して葉を作っていますが、エアープランツはなんと大気中の窒素を取り込んで葉を作ってしまうという驚くべき植物なのです。姿形もユニークで葉も花も美しく、倒れて土がこぼれることもないので、どこにでも気軽に置けます。こんなに可愛くて素晴らしい植物はそうはありません。とにかく不思議で楽しい植物たちです。
土から栄養を取ることのないエアープランツには、他の観葉植物とは違った管理方法があります。エアープランツには大きく分けて葉が白い毛で覆われている銀葉系と、緑色でツルツルした緑葉系があります。銀葉系は柔らかい種類が多く、比較的カラッとした環境を好みます。緑葉系は固くてがっしりした種類が多く、ある程度の湿度がある環境を好みます。これらは水やりの頻度は異なりますが、だいたい基本的な育て方は同じです。
エアープランツは水が足りないところで育てていると葉先から傷んできます。水やりは週に一度くらい霧吹きでたっぷりとかけてあげましょう(シリンジと言います)。寒い時期にはもう少し間を置きますが、暖房のある部屋に置いてあるのであれば同じように週に一度くらい与えます。そして月に一度、バケツに水を張って、その中に一晩つけておきます(ソーキングと言います)。翌朝、水をきって風通しの良いところで干してあげてください。特に銀葉系は乾燥と湿潤のメリハリが必要で、いつまでも湿っているのは良くありません。シリンジやソーキングに使う水はバケツなどに汲んで一日ほど寝かせておけば温度も落ち着きますし塩素もとびますので、できればこうした水を使うのが理想です。液肥を使う場合は通常よりかなり薄めて霧吹きやバケツの水に含ませましょう。
寒さには強いので5度以上あればまず大丈夫です。むしろ夏の暑さの方が問題です。できるだけ涼しく風通しの良いところに置いてあげて下さい。暗いところは禁物で、室内であれば蛍光灯の真下や窓際など、できるだけ明るいところに置いたり、机の上であれば卓上ライトで照らしてあげます。また、明るい光を好むと言っても室内で育てていたものをいきなり外の直射日光に当てるのはよくありません。室内でも明るいところならすくすくと育ってくれますので、特に外で育てる必要はないかと思われます。
成長はたいへん遅く、種類によっては生きてるのかなと思うほどですが、いきなり花芽がにょきにょきと伸びてきて鮮やかな花を咲かせてくれる……、そんな突然のサプライズも、エアープランツの楽しみのひとつと言えるでしょう。
この植物の最も楽しい育て方はエアープランツだけで箱庭を作ってしまうことです。まずは浅くて大きめのトレイのような容器にバークチップを敷き詰め、そこにエアープランツを並べていきましょう。バークチップに少し潜り込ませながら支えるようにして立たせてあげるのがコツです。ファンタジックで美しい箱庭が驚くほど簡単にできあがります。ポイントは小さめの種類を選ぶことと、ウスネオイデスと管理が同じような銀葉系の種類を選ぶこと。そうすれば霧吹きで水をかけるタイミングも同じで楽ですし、月に一度バケツの水に一晩ごそっとつけておいて翌日また並べ直すだけで、この夢のような箱庭を長く維持することができるでしょう。創造力のおもむくまま、ガラスの動物や陶器のオブジェを併せれば、更に楽しみ広がります。工夫次第で様々に楽しめる、エアープランツはそんな素敵な植物なのです。
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