ルーペの種類と選び方

観察用品「ルーペ」

倍率でこそ顕微鏡にはかないませんが、ルーペはその圧倒的な手軽さが魅力です。持ち運びや準備など、他の光学機器では考えられないほど利便性に優れていますし、日頃からひとつは携帯しておくと日常生活の中でも非常に重宝する観察用品のひとつです。

ルーペでの観察に適した素材

ルーペではこれといった観察対象を決めずに片っ端から見てみるだけでも思わぬ発見があるものです。とにかくほとんど準備もなくすぐに観察が開始できるのですから、この手軽さを活かさない手はありません。ここでは中でも身近で見つけやすく、興味深い観察対象を考えてみたいと思います。

鉱物

どれも同じように見える石ひとつとってみても、ルーペがひとつあるだけで、その個性的な表情を楽しむことができます。もし鉱物標本セットをお持ちであれば、あの小さなかけらを観察するにはまさにうってつけです。ところでちょっと面白い対象として水晶があります。水晶にはいろいろな種類がありますが、中でも箱庭のようなガーデンクォーツや虹色に輝くレインボークォーツ、たくさんの水晶がつらなりあったクラスターなどは、ルーペで観察することによって思わず息を呑むほどの美しさを楽しませてくれるものもあります。鉱物の観察には3倍くらいのものが適しています。

化石

悠久の時を越え、古代生物の姿を今に伝える化石は、ルーペの観察対象としては特に適したもののひとつです。化石を観察するのに顕微鏡では倍率が高すぎて砂粒しかみえなくなってしまうこともあり、こと化石の観察においては低倍率のルーペこそ最大限にその威力を発揮します。化石の観察には3倍くらいのもの、虫入り琥珀には10倍くらいのものが扱いやすいでしょう。

植物

植物はもっとも気軽に観察することのできる対象のひとつですが、その表情は千差万別でなかなか興味深いものです。特に花のように構造が複雑なものはルーペでの観察に適しています。低倍率でも高倍率でも、それぞれに楽しめます。

プランクトン

ミジンコなどは動きが速すぎて光学機器による観察が意外に難しいもののひとつです。こうした場合は2倍くらいの大きなハンドルーペがあると便利です。田んぼなどで水底を這うように移動する小さな生き物たちの観察にも役立つでしょう。野外で観察する場合は、危険ですので、いかなる理由があろうとも絶対に太陽を見ないように徹底する必要があります。

ルーペの種類と選び方

ルーペには意外にも多くの種類があり、目的にあったものを選ぶことによって扱いやすさや楽しさはグッと高まります。材質はガラスとアクリルが一般的ですが、ポケットルーペ以外はクリアな視界で傷の付きにくいガラス製をオススメします。ずっと使えて、しかも使用頻度の高いルーペですから、お気に入りのひとつを見つけてみて下さいね。なお、ルーペを窓際などに放置しておくと太陽の光によって火災の原因になる場合があります。くれぐれもご用心を。

ハンドルーペ

使いやすさでは一番なのがこのハンドルーペです。ほとんどが低倍率なので初心者の方でも手ぶれを気にせず観察することができます。3倍くらいのものが最も広い用途に使えます。野外で小さな昆虫などを観察するのにもとても便利です。

スタンドルーペ

台座がついていて置いたまま使えるのがスタンドルーペです。鉱物や化石など、室内で静物を観察するのに適しています。ハンドルーペをずっとかまえているとだんだん疲れてきますが、スタンドルーペなら時を気にせず、その美しい姿を鑑賞することができます。また、鉱物を飾っている場合にはスタンドルーペを設置しておくと面白いディスプレイになるでしょう。

ライト付ルーペ

夜間の野外観察で役立つのがライト付ルーペです。ライト機能とルーペ機能が分離しているものがありますので、購入の前には被写体を照らしながら拡大できる仕様になっているかをよく確認してみましょう。

ペンダントルーペ

オシャレなペンダント型のルーペです。デザインが優れているだけでなく、ガラス製の高品質なルーペが数多くあります。携帯には特に優れていますので、いつも持ち歩くのに最適です。ただレンズがとても小さいので、初めから観察を目的として野外にでかけるのであればハンドルーペをおすすめします。

ポケットルーペ

薄く軽量で携帯に便利なポケットルーペはレンズもハンドルーペなみに大きなものもあり、実用性にも優れています。やはり見え味はガラス製がバツグンながらも、より軽くて衝撃に強いアクリル製も捨てがたいものがあります。他にメインのルーペを持っているのなら気楽に使えるアクリル製を、ひとつをオールマイティに使うならガラス製がオススメですが、ガラスでもアクリルでもない第三の素材により、その両方の利点を両立させたレンズとして、レンズを作り続けて一世紀の歴史を誇るドイツの名門エッシェンバッハのハンディルーペもあります。

高倍率ルーペ

鉱物鑑定などに使われる高倍率ルーペは虫入り琥珀の観察に大きな威力を発揮します。また、花などの小さいながら精巧な構造をしたものを観察するのにも適しています。なお、倍率が高いため被写体が視界の外にいなくなってしまいやすいので、動くものの観察にはあまり向いていません。

目盛り付ルーペ

ルーペを使って観察する際の最大の弱点は、被写体の実際の大きさを把握できなくなくなってしまうことです。それを解決したのが、この目盛り付ルーペなのです。倍率が高いので用途は限られますが、小さな対象物の記録を残すのにはとても役立ちます。

ルーペが映しだす別世界

気楽に持ち出せて誰でも簡単に扱える、こんな光学機器は他にありません。観察対象は、まさに無限!!いつの日か体験したワクワクと感動が、レンズの向こうで待っています。


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