生きた化石飼育セットの解説

科学教材「生きた化石飼育セット」

生きた化石を飼育しながら観察してみると、絶滅してしまった古生物たちが数億年前の世界でどのような生活を送っていたのかを理解するのにとても大きな手がかりとなります。ここではカブトエビや古代魚など、生きた化石と呼ばれる生き物たちの飼育について考えてみたいと思います。

生きた化石が教えてくれる生命の不思議

カブトエビの飼育セットは生きた化石の観察を手軽に実現するのにうってつけのアカデミックな飼育セットです。カブトエビ以外にも生きた化石と呼ばれる生き物はたくさんいますが、実際に飼育するとなると、やはりそれなりに整った設備と、ある程度の飼育技術を要します。ですが、カブトエビの飼育であれば机の片隅のような小さなスペースでも観察でき、しかも、わずか一ヶ月で節足動物の一生を目の当たりにすることができるのです。逆さまに泳いだり、底を掘り返してみたり、急旋回してみたり……。長い尾をなびかせて元気に泳ぎ回るカブトエビの様子を観察しながら、失われし太古の水辺へ思いを馳せてみるのも楽しいものです。

生きた化石「カブトエビ」について

生きた化石として古くからよく知られているカブトエビ。3センチほどの小さな水生生物で、日本でも外国から帰化した種類が農薬を使わない田んぼなどに暮らしています。カブトエビは節足動物門の動物ですが、三葉虫に代表される節足動物の起源は途方もなく古く、実に古生代のカンブリア紀にまでさかのぼります。カブトエビは中生代のジュラ紀に繁栄した生き物ですので、節足動物の歴史の中では新入りですが、他の節足動物たちがめまぐるしい進化を遂げてきた中、カブトエビは約2億年前の姿のまま現在まで来てしまったために生きた化石と言われています。意外とデリケートな生き物で、それなりに他の生き物の飼育技術に自信のある人でも、最初はうまくいかないことがある反面、説明書をきちんと読んでその通りに育てた小学生が初めてにも関わらず大きく育てられたりもする生き物です。
生きた化石「カブトエビ」の写真
生きた化石「カブトエビ」

カブトエビ飼育セットの楽しみ方

この愛らしい生きた化石を飼育する上での注意点は、とにかくエサを控えめにして水を汚さないことにつきます。カブトエビは水質の変化に弱く、水温の変化にも弱く、水道水の塩素はもちろん、塩素を中和する薬品などにも弱いので、できるだけ水換えをしなくてもすむように、いつも水槽内を清潔に保つことが大切です。また、冬場はオートヒーターなどで水温を20度前後に保つ必要があります。暑さにも弱いので、真夏はできるだけ涼しいところに置いてあげて下さい。なんともウイークポイントの多い生きた化石ですが、愛情を持って大切に育ててあげれば、きっと大きく元気に育ってくれる事と思います。

カブトエビはとんでもなく成長が早いので、みるみる大きくなる様子を楽しく観察できるでしょう。急速に成長する代わりにわずかな寿命しか持たない生き物ですが、せめて最善の環境で大切に育ててあげたいものです。

カブトエビ飼育セットについて

その他の生きた化石

飼育セットではありませんが、原始的な形質を残した生き物たちの中には飼育してみると実に興味深い生態を見せてくれる種類が多く存在します。ただ、生きた化石の定義としては遺存種など、絶滅危惧種のようなものに限定するような解釈もありますが、そうした動物を飼育することは推奨されるべきではなく、また、古生物が大むかしの地球でどのような暮らしをしていたかを知るという目的においては、むしろせっかくの知識の幅をせばめてしまうことにもなりますので、このサイトでは、いわゆる古生物が中生代や古生代に暮らしていた頃から、ほとんどその姿を変えずに生き残ってきた生物を生きた化石として、その飼育方法をご紹介したいと思います。

【古代魚】
熱帯魚として紹介されている生き物の中にも、生きた化石と呼ぶにふさわしい種類がいます。ここではそんな古代魚たちを紹介してみたいと思います。

・ポリプテルス
古代魚の中でも特に他の魚とかけ離れているのが、肺魚とシーラカンス、そしてこのポリプテルスです。見た目や体内の構造もかなり変わった淡水魚で、シーラカンスのような胸びれ、古代魚特有の四角いウロコ、肺魚のように肺に似た構造を持つ浮き袋、そしてポリプテルス最大の特徴である細かく分かれたたくさんの背びれなど、どこをとっても興味のつきない古代魚です。人工飼料もよく食べ、極めて丈夫で飼いやすく、人にも良く慣れる理想的な熱帯魚ですが、大きくなる種類もいますし、とても長生きする生き物なので、飼う前には最後まで面倒をみられるかどうかをよく考えておくことが大切です。
生きた化石「ポリプテルス」の写真
生きた化石「ポリプテルス・オルナティピニス」

・ハイギョ(肺魚)
ハイギョはシーラカンスに勝るとも劣らないほど原始的な形質を備える生きた化石です。特にハイギョ類の中でも原始的なのはネオケラトドゥスで、絶滅種であるケラトドウスと比べてもほとんど同じ姿をしており、まさに生きた化石の名に恥じない古代魚と言えるでしょう。ただし、ネオケラトドゥスはオーストラリア政府によって保護されているので証明書がないと飼育することはできません。ハイギョ類で最も飼育に向いているのはプロトプテルス・アンフィビウスです。他のプロトプテルスはたいへん大きくなりますが、アンフィビウスは飼育下においては大人になってもだいたい40センチくらいですので、大型水槽があれば十分に飼育が可能です。ただしアンフィビウスは他のハイギョに比べて、とても水質に敏感でデリケートなので、週に一度は3分の1ほどの水を換えてあげます。食欲は旺盛で、大型ナマズ用の人工飼料なども良く食べます。とても可愛らしい顔をしていますが、噛まれると大変キケンですので、ハイギョの顔の近くには絶対に手などを近づけないようにご注意を。万一ということも考えられますので、小さなお子様や、ネコなどのペットがいる家庭ではハイギョの飼育は避けた方が無難です。
生きた化石「プロトプテルス」の写真
生きた化石「プロトプテルス・アンフィビウス」

【ヒトデ】
古生代オルドビス紀に登場したヒトデも現在までほとんど姿の変わっていない生きた化石で、古生物の生活の様子を理解する上で特に重要な意味を持つ生き物です。ヒトデは主にエサ用として海水魚専門店などで安く売られていますが、丈夫で飼いやすく、また、とても愛らしい魅力的な生き物のひとつです。ほとんど動かないので、やや小さめの海水魚用飼育セットでも十分に飼うことができます。フリソデエビなど、ヒトデを食べてしまう生き物もいるため、ヒトデはヒトデだけで飼う方が良いでしょう。魚肉なども食べますが生餌(特に貝の仲間)は海水を急速に傷め、時として致命的となってしまう場合もありますので、水量の限られた観賞用の水槽では沈降性の人工飼料だけを与えた方が無難です。エサの好みはヒトデの種類にもよりますが、海水魚用の飼料に限らず、熱帯大型ナマズ用のエサなども試してみることをオススメします。
シルル紀のヒトデの化石
シルル紀のヒトデの化石


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