動物をデザインした音楽CDのジャケット

0.動物のデザイン

作品紹介~音楽CD「あしたのかけら」

とにかく動物の好きな私にとって、何かをデザインするときにも動物は真っ先に思い浮かぶモチーフです。あるとき私は、看護師3人組「(明日)…あかひ」の歌うアルバム「あしたのかけら」のジャケットデザインを担当することになりました。この音楽CDには「月うさぎ」と「さよならパンダ」という、タイトルに動物がついた曲が含まれています。もちろん私がデザインする以上は、この音楽CDのジャケットにウサギとパンダは欠かせません。しかしながら実はこのCDのデザインを手がけることになったとき、まず最初に思い浮かんだのは実はウサギとパンダではなくアルゼンチンパールフィッシュという熱帯魚だったのです。アルゼンチンパールフィッシュは南米の小さな水たまりのようなところに生息する小型の熱帯魚。その黒っぽい小さな体にキラキラ光る銀やメタリックブルーの輝きは、まるで満天の星空を見ているようです。

このアルバムには「月の涙」という曲が収録されています。そしてそれは、私にとって、限りなく広い宇宙の遠い彼方からたどり着いた無数の星の瞬きを感じさせてくれるような曲だったのです。印象的なその曲はアルバム全体のイメージをも壮大なものにしてくれました。やがて完成したそのCDのジャケットの背景にあるのは、深淵なる暗闇と、そして、青く輝く小さな光。それは南米の秘境で月明かりを浴びてひそやかに輝くアルゼンチンパールフィッシュの姿をイメージしたものでした。

来る日も来る日も、朝から晩まで延々と聴き続けたこの音楽CDは、収録されている曲のひとつひとつに思い入れがあります。誰にでも、心の奥の底の底にある遠い彼方の切ない記憶……。この曲の最後に収録されているメインタイトルの「サクラサクラ」を聴き終わったとき、きっと忘れかけていた熱い気持ちがこみあげてくることでしょう。

実はこのジャケット、ほんのちょっと仕掛けをしてみました。空飛ぶパンダとウサギが見つめる先は……、ジャケットを開くと小さな小さな感動が待っています。

アルバム「あしたのかけら」について

タイトル:あしたのかけら

アーティスト:(明日)

型番:NMCA-00102

【収録曲】

  1. chronic rain.
  2. さよならパンダ
  3. 月の涙
  4. 生きてく心。
  5. ねむり姫
  6. 間違い
  7. 強がり虫のあの人へ
  8. 月うさぎ
  9. 明るい日々 -(明日)テーマソング-
  10. サクラサクラ(ピアノ弾き編)

(明日)について

カッコも名前の一部で、明日をカッコでくくって「あかひ」と読みます。メンバーの「花巻アイコ」「秋本かんな」「高橋仁美」の名前の頭文字を取ったものです。ナースとして働く側ら、アコースティックによる音楽活動をしています。楽器は基本的に2本のアコースティックギターのみです。(明日)ではコーラスも特に大きな役割を果たしています。リーダーは秋本かんな。

【音楽性】

飾らない素朴な音色が優しく響くアコースティックサウンドです。表現力豊かなボーカルと高低に広がる2つのコーラス、そして共感を誘う純粋で温かい詞が特徴です。

動物をデザインした音楽CDのジャケット「あしたのかけら」